Akira Kosemura
Polaroid Piano (15th Anniversary Edition)
ローレンス・イングリッシュからの寄稿文
小瀬村晶の『Polaroid Piano』は、私にとって非常に思い入れの深いアルバムです。Room40の姉妹レーベルの一つである「Someone Good」を設立する大きな原動力となったのは、晶の作品でした。
『Polaroid Piano』は、後に「フェルト・ピアノ」として知られるようになる音楽スタイルの先駆けとなった作品であり、その手法はその後何年にもわたり、数多くのアーティストたちに受け継がれていくことになります。本作は、至近距離で捉えられたピアノの響きを、本質的かつ親密な形で描き出していますが、それだけにとどまりません。ピアノが、それを取り巻く空間の中で呼吸することを許容しているのです。
アルバムの構成としては、ピアノを中心としたヴィネット(小品)の集積となっています。それぞれの楽曲は、生活の気配を纏った音楽の「小宇宙」のようであり、それらは多孔質で外に向かって開かれ、時間の感覚や「いま、この瞬間」という空気が音楽の中へと染み込んでくるのを誘(いざな)っています。これらの楽曲は瞬時に親密さと哀愁を感じさせ、そのメロディには周囲の世界が刻印されています。ある録音では、スタジオの音響空間の外側からサイレンの音が響き、また別の曲では鳥の声が入り込み、晶の衣擦れの音までもが音楽そのものの中に溶け込んでいます。
この録音について最初に話し合った際、晶は私に、作曲の出発点となるような音を提供してほしいと提案してくれました。私は一連のフィールドレコーディングを収集し、シンプルで示唆に富んだヒントとして、また、晶が録音していた場所の軌道上に同時に存在するかもしれない「別の」環境を想像する手段として提供しました。それらのフィールドレコーディングのいくつかは、遠い記憶が語り直されるかのように、アルバムの中に収められています。
『Polaroid Piano』が稀有な作品である理由は多々あります。その一つは、アルバムの名の由来となった写真(ポラロイド)の「瞬間性」という特質を、音による書き写しとして見事に具現化している点です。各楽曲は聴覚的なスナップショットであり、ポラロイドというフォーマットの美学と密接に結びついた、ある種の「調和のとれた光」や「音色の露出」の質感を反映しています。
本作は、音源としての楽器の身体性を讃えるレコードです。そして、音楽をこれほどまでに深遠で、喜びに満ちたものにしてくれる「共鳴」や「音の生命力」のすぐ傍へと、私たちを招き入れてくれるのです。
