Tim Linghaus

Memory Sketches

通常価格 $17.00
記憶とは何か。それは我々の過去の破片が脳裏に映像として思い出されるものか。それは前の自分が現在の自分に話しかけている現象、またはその逆の現象のことなのか。それはデジャヴや白昼夢で繰り返される感情及び匂いのことか。また、これらを総和したものなのか。私にとって記憶とは、自分とは何者かを明確に出来るものである。時には鋭く明白に、大抵はぼやけて脆いが、自分と非現実や未来に存在するものとの結びつきを持たせてくれる。残念ながら、徐々に消えていく記憶もある。だから、それらを失うのを私は恐れている。

このmemory sketch(メモリースケッチ)の背景には、特定の記憶を形に変えて残すという考えがある。そのため、ここには自分が大切にしてきた記憶の数々を集約している。例えば、祖母をRVに乗せて病院に連れていったことや、1989年にベルリンの壁が崩壊して間もない頃に初めてBornholmer通りでドイツの境界線を渡ったことや、卒業式が終わった後に家に帰ったことや、父の葬式でラジオを使って彼と話せないか試みたこと等々がある。これら全ては、約20年に渡る私的な記憶のコレクションである。最も古い記憶は80年代から90年代の子供時代まで遡り、最近のでは父が亡くなった2002年の記憶である。

今回のアルバムで最も大事な役割を果たしている楽器は、私の古い記憶よりもかなり古いアップライトピアノである。2016年の夏、高級マイク1本と安いマイク3本を購入し、一つ目のスケッチのレコーディングを開始した。簡単に作業が進むときもあったが、記憶に結びつく相応しいメロディーがなかなか見つからず意気消沈するときもあった。また、メモリースケッチの楽曲制作にはアップライトピアノ以外の音も使用した。シンセサイザーの音を聴いて1980年代を過ごした自分としては、今回のアルバムでこの楽器を使用することは自然の成り行きであった。そして、Sebastian Selke (CEEYS)を招きチェロを数曲に演奏してもらい、曖昧でぼやけた記憶の印象を強調するために膨大な数のノイズを録音した。全体のプロセスに一年以上の時間がかかった。全ての録音は、自宅のスタジオWallring Cabinにて作業された。

最終的に、このアルバムでは自分自身の過去や家族との想い出を駆け巡り、時間や生や死について省察する作品となった。
同時に、これはただの音楽でしかない。

Tim Linghaus, December 2017

和訳:長沢一郎

written and mixed by tim linghaus
mastered by emil thomsen
cello by sebastian selke
recorded at wallring cabin
artwork by alexander hanke / zum heimathafen
a&r – akira kosemura
art direction – shin kikuchi
sales promotion – kazumitsu yoshida, romain meril and matthieu burel
production management – SCHOLE INC. & 1631recordings